エステティシャンは美容師や理容師以上に、人間のカラダや皮膚に直接触れる仕事です。
にもかかわらず、エステサロンは文字どおり無法地帯なのです。
だからこそ、雨後の筒のごとく、エステサロンが林立、トラブルを引き起こしているとも亭えるでしょう。
また、先にも述べましたが、施術を行うエステティシャンには、国家資格がありません。
したがって、エステティシャンの知識修得や技術養成は、各々のエステサロンに委ぬられているのです。
どのエステサロンも研修制度は設けていますが、とても十分な状態とは言えません。
大概のエステサロンは、経営基盤が盤石とは亭えないため、エステティシャンを長期にわたって研修させる余裕がないのです。
ひどいエステでは、2〜3日の研修期間でサービスを覚えさせ、いきなり接客にあたらせるところもあります。
そのため、どうしても、エステティシャンによって技術力にばらつきが生じています。
エステティシャンが、美容師などと同じように、共通のノウハウや知識を持っていないのは、問題と言わざるを得ません。
私はエステサロンを経営していた当時から、エステティシャンに全国統一の国家資格がないこと、サロンの認定制度がないことに、問題を感じていました。
そのため、私が経営していたサロンでは、エステティシャンに何らかの民間資格を取ることを推奨していたほどです。
例えば、脱毛の場合。
現在では、ニードル式脱毛もレーザー式脱毛も医師資格のないエステティシャンが行うのは違法行為です。
ちなみに、テードル式の場合、人体に針を刺す行為であるため、危害を及ぼす恐れがあるとして、「医業」に該当するとみなされ、医師でなければやってはいけないことになりました。
一方、光脱毛については、エステ大国の欧米から光脱毛機械が上陸した当初は、別段資格は必要なくエステティシャンたちはメーカーによる技術研修により使い方をマスターしていきました。
ところが、光脱毛やレーザー式脱毛は、ニードル式に比べて安全なものの、照射する出力を誤ると、火傷を引き起こす恐れもあります。
そして、火傷や水脹れ、色素沈着の被害が実際に起こったことから、11月以隆、厚労省は強い光線を当てるレーザー式脱毛に関しては、医療行為とみなし、医師以外が手がけることを医師法違反としたのです。
先に述べたとおり、私はこの「医師法に違反する」として逮捕されました。
しかし、逮捕された私が実は、「資格の必要性」について、エステ業界内でも極めて真剣に考えていたということは皮肉な話です。
そもそも私がエステサロンを開き、脱毛施術を始めた頃は、脱毛施術を行う者に資格は必要ありませんでした。
それが、11月の厚労省の通達により、「医師法に反する危険性がある」とされたのです。
通達された条文には、こう書いてありました。
「第一脱毛行為等に対する医師法の適用以下に示す行為は、医師が行うのでなければ、保健衛生上、危害の生じるおそれのある行為であり、医師免許を有しない者が業として行えば医師法第十七条に違反する。
用いる機器が医療用であるか否かを問わず、レーザー光線、又はその他の強力なエネルギーを有する光線を毛根部分に照射」、毛乳頭、皮脂腺開口部等を破壊する行為。
針先に色素を付けながら、皮膚の表面に量等の色素を入れる行為。
酸等の化学製品を塗布して、しわ、しみ等に対して表皮剥離を行う行為は行っていませんでした。
医師法に違反しているとすれば、レーザー式脱毛行為です。
そこで、納入している脱毛機械メーカーに慌てて問い合わせたところ、会社で使っていた機械は、にある「毛乳頭、皮脂腺開口部などを破壊する行為」にはあたらないと説明を受けました。
光脱毛ですから、当然です。
それを顧問弁護士に報告し、相談したところ、「違法行為を行っていない」という結論に達したわけです。
それに、完壁とは言いませんが、毎年新入社員全員に自社で設けた教育機関の研修学校で1か月ほど脱毛行為を学ばせるなど、エステティシャンのスキルアップには十分意識を払っているつもりでした。
とはいえ、いくら「われわれは違法行為を行っていない」と自認したところで、脱毛行為が「保健衛生上、危害の生じるおそれ」があるかぎり、エステティシャンにきちんとした脱毛の知識を身につけさせることが必要だ。
そう考えた私は、エステティシャンに美容機器安全普及会というNPO法人が行う「美容脱毛検定」という民間資格を積極的に受けさせるようにしました。
この資格は、理論も実務も判定されるため、案外難易度が高い、上エステティシャンたちは、必死で勉強を重ねていました。
そして、続々と合格者を出していました。
さらに、日本には、現状エステティシャンの公的資格がないため、社員に世界61か国で認知されるエステティシャンの国家資格を積極的に取らせていこうと、わざわざ常務取締役をオーストラリアに派遣し、勉強させ、国際的な資格を取得させたのです。
その矢先に、資格を有しているはずの常務取締役を含めた、われわれ役員4人が逮捕されたわけです。
民間資格とはいえ、私が「医師法違反」で逮捕されたときは資格を有する者に脱毛行為をさせていたのに、さらには、オーストラリアまで行って資格を取得してきたのに、医師法に反しないか、事前にきちんと顧問弁護士に相談していたというのに。
どんな民間資格を取得しでも、結局、脱毛は医師が行わないかぎり「違法行為」とみな高い脱毛技術を証明する資格試験二団体が認定している資格はこれだけ存在する。
にもかかわらず、国家資格は一切存在しない。
人間のカラダに関わるサービスなだけに、早急な資格創設が必要だと言われているということが身をもってわかりました。
であれば、なぜこのような矛盾した資格が法的に野放しにされているのでしょうか?エステティシャンの資格を取得するために、多くの若い女性が学校に通っているわけですが、苦労して資格を取得しても、医師免許を持っていなくてはレーザー式脱毛行為をすることができず、全くの無意味ということになります。
これでは、高額な授業料を払ってもエステティシャンとして合法的に活動できないという、詐欺にも等しい「教育」があるということです。
また、脱毛を行う美容外科でも、実際の施術は医師免許を持たない者がやっていることが多々あります。
これもまた、医師法に抵触する行為です。
こうした現状を、管轄である厚生労働省は、認識しているのでしょうか?私には、こうした行為を、お役所の方たちは、見て見ぬフリをしているだけのように思えてなりません。
このように、エステで行われる脱毛も美容外科で行われる脱毛も、現在の法律では、いろいろな矛盾が見逃され、グレーゾーン化しているのが実情です。
こうした問題を解決するためにもはエステティシャン共通の公的資格や、エステを管理する「エステ法」といった法律をいち早く確立することが必要だと思います。
こうしてきちんとした法整備のもと、エステやエステティシャンの社会的地位を上げないかぎり、優秀な人材やマトモな経営を行う会社は現れず、被害者ばかりが増える一方のような気がしてなりません。
エステサロンは全国で約1万店存在し、エステティシャンはおよそ4万人いると言われています。
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